毎年恒例、「国際鉄道模型コンベンション(通称 : JAM)」が8月8日〜10日に東京ビッグサイトで開催され、羅須地人鉄道協会も機関車を持ち込みました。さて今年やってきた機関車は、、、
基隆炭鉱鉄道5トン機は、戦前に日本で製造された蒸気機関車。製造所は「川副機械製作所」と推定されていますが、記録が残っておらずはっきりと特定できていません。「鍛冶機械製作所」「日本牽引車製造(森製作所)」など諸説あります。国内の小さなメーカーで作られたとみられます。
日本各地の軽便鉄道で見られた独国O&コッペルの蒸機と形が似ていますが、コッペルの特徴であるボトムタンク(ボイラー下の台枠内側に組み込まれた水タンク)がないなど、いくつか違う点があります。もともと戦前に台北の飛行場整備で使われ、その後基隆炭鉱鉄道で使われたとの話。現役時代の写真は、写真家集団「けむりプロ」メンバーの梅村さんのウェブサイトでご覧になれます。
軽便鉄道の機関車は基本的にスピードを出さないので、高速で走る大型機と比べて設計を簡略化できる箇所が多いです。しかし今回復元を担当したTさんによると、この5トン機の足回り部品は軽便の規格には不必要なほど細かく作られており、さながら国鉄蒸機のようだとのこと。資料がないので真相は闇の中ですが、ひょっとすると設計者はもともと国鉄で設計に関わっていた人なのでは、、、?と想像していました。
今まきば線にいる6号機を1978年3月に台湾から輸入した際、5トン機の部品も一緒に船に積まれ日本にやってきました。私たちが東洋活性白土株式会社(新潟県糸魚川市)の工場専用線を借りて活動していた80年代に5t機の修復も試みましたが、同社が解散したことで私たちも活動場所を失い、車両や資材の移転、新たな活動場所探しなどの日々を過ごすうち、とある鉄道会社に預けてあったはずの5トン機の所在が、手違い勘違いなどが原因で行方不明になってしまったのでした。
ところが今から約20年ほど前、ひょんなことから5トン機が再発見されます。紆余曲折があったものの再び当会の元にやってくることになりました。しかし、ボイラー、シリンダー、動輪やロッドなど主要部品は見つかったものの、残念ながら台枠や水タンク、キャブなどは失われていました。その後、他の機関車のレストアが優先されて5トン機の部品は資材置き場で眠っていましたが、今年のJAM参加にあたり、それらのパーツを中心に、台枠・キャブ(運転室)などを新製し、機関車として復元することになったのでした。
ちなみにボイラーは安全が確認されて9号機などで活用されていましたが、今後長期的に使用することを考えると不安があったため廃罐となりました。現在5トン機にはエアタンクが搭載されていますが、今後新しいボイラーについても検討される予定です。
イベント当日は圧縮空気によるデモ運転も行われ、3日間で45列車約500人以上のお客さんにご乗車いただきました!各日オープンとクローズ時には蒸気ドーム部に仕込まれた国鉄蒸機の5室汽笛が鳴らされ、ボーッという音が響き渡りました。
客車は若手会員Tさんが自作したもの。座席を外すと平トロに変身し、なんとTさんのマイカーである軽ワゴンに載せて運ぶことができるというスグレモノです!
8日には鉄道イラストレーターの西村慶明さんによるナンバー入れも実施。白の「10」の文字が美しい!
ちなみに10号機は7月に組み上がり、本番の数週間前に試運転を終えたばかり。今回運転していたY田さんによると「最初は足回りに油が回ってなくてギクシャクしていたけど、3日間走らせてスルスル動くようになりましたよ〜」とのことです。
ちなみに、10号機に関するよもやま話はメンバーA氏のXに載せられています。返信からご覧ください。
次回の蒸機運転日は9月14日、15日になります。お誘い合わせの上、ぜひご来場ください!